室戸高校甲浦分校(東洋町) かんのうら
1999(平成11)年に本校統合
高知県の最東端に位置する東洋町、甲浦地区は中でも県境に一番近く地区中心部からでもわずか1km少々しか離れていない。阿佐海岸鉄道の終点もあり、距離的にも経済的にも徳島県との結びつきが非常に強い。徳島市までは特急乗り換えで約1時間40分、いっぽう高知市まではバスと土佐くろしお鉄道を乗り継いで約3時間50分かかる。高速道路は当然ないので車利用でも似たようなものである。
訪問は2008(平成20年)7月、国道55号線から入り組んだ道を阿佐海岸鉄道甲浦駅方面に走ると右手に一目で学校とわかる校舎・体育館が見えてくる。統合廃校後9年経っており、一部跡地は老人介護施設が新設されていた。訪問前に室戸高校に電話して所在地の確認をしたのだが、どうやら完全に廃校手続きがとられているようでよくわからないとの回答であった。
統合一年前のH10年度教職員名簿では在籍生徒数6名となっており、学級数1であることからこの6名が最後の在校生であろう。手持ちのS53年教職員名簿では在籍生徒数56名、地元の話では最盛期には100名を越える生徒がいたという。甲浦分校と室戸本校の間は現在でもバスしか交通手段がなく、本校への通学は事実上不可能である。このため統合後の地元中学生は海部高校への通学もしくは徳島市内への下宿通学という進路がほとんどである。海部高校のある海部駅まではわずか11分、十分な通学圏内である。分校統合時にも地元からは大きな反対意見もなく、比較的スムーズに統合となった。
訪問後に高知県教育委員会にて確認したところ、跡地は2002(H14)年に県有財産譲与契約が締結されており東洋町への払い下げとなっている。「東洋町ふれあい館なごみ」として東洋町の活性化と町民の健康増進及び教養の向上を図り、社会福祉を向上させるそうである。