小才角小学校(大月町)  こさいつの    へき地級1(1978)
    月灘村立小才角小学校から合併で大月町立に改称後2001(H13)年休校

 大月町の東南部にある小才角は国道321号線沿いの小さな集落である。小才角小学校は集落を小才角川沿いに遡ったところにある。1884(明治17)年に創立された学校は117年の歴史を残して姫ノ井小学校に統合され、その幕を閉じた。

 訪問は2005(平成17)年の6月、休校から4年の歳月が流れている。小才角集落の上流にある小さな学校は改装されているとはいえ、木造校舎の雰囲気を残した建物であった。玄関上には時計があり、既にその仕事を終えて止まったままである。校庭には雑草が生い茂り、主のいなくなったブランコやシーソーが所在なげに佇んでいる。
 
この地に伝わる有名な唄がある。

「お月さん桃色」
お月さんももいろ
だれんいうた 
あまんいうた
あまの口
ひきさけ

 松谷みよ子さん原作の絵本等で有名な悲話であり、このお月さんというのは四国八十八ヵ所番外札所の月山霊場南照寺(現月山神社)を指すものらしい。小才角近海で宝石珊瑚が多く採取されていたことと、土佐藩が珊瑚の採取を禁じていたことから「月灘の珊瑚を桃色と誰が言うた。海女が言うた。海女の口引き裂け」と解され、珊瑚漁禁制下で「珊瑚」を口にすることを戒めていたと考えられている。国道312号線の小才角休憩所には珊瑚を抱いた少女の像が建立され、当時の厳しい状況を伝えている。
 珊瑚以外でも海の幸は豊富であり、イカ・キビナゴ・トコブシ・ブリなどが特産品である。イカの一夜干しは国道脇の露天で直売されている。キビナゴの刺身などは鮮度の問題で産地周辺でしか味わうことのできない珍味である。しかし、相対的な漁獲量の問題や漁価の低迷があり高齢者のみが残る構図となっている。
日々食べていくだけの生活に不自由はないそうであるが、消費社会となった今の地方では地元に残る家族連れがいなくなるのはどうしようもない現実である。ちなみに2009(H21)年のプロ野球ドラフト会議で阪神タイガースの一位指名となった二神投手(法大)は小才角出身である。